英検の過去問、解くだけで終わっていませんか?英語力が伸びる使い方とは

音読で英検対策は変わります

英検対策というと、多くの方が過去問に取り組まれるのではないでしょうか。
もちろん、過去問を解くことはとても大切です。
しかし、その過去問、本当に使い切れていますか?

一度解いて、答え合わせをして終わり。
もしそうなら、その過去問の力を十分に生かし切れていないかもしれません。

過去問は取り組み方が大切なのです。

実は、過去問は「解くだけ」の教材ではありません。
英語力そのものを伸ばしてくれる教材でもあるのです。
その鍵になるのが、音読です。

目次

音読するのはリスニング問題だけではありません

「音読」と聞くと、
「リスニング問題のスクリプトだけを読めばいい」と思っている方も多いようです。

しかし、それでは足りません。
英語で書かれているものは、すべて音読してください。

  • 長文問題
  • 会話文
  • 文法問題の例文
  • 英作文の模範解答

すべてです。

答え合わせが終わったら、英語で書かれている部分は、できるだけ声に出して読みましょう

長文は、一文ずつ英語らしいリズムやイントネーションを意識して読むことが大切です

もしかすると、リスニング問題のスクリプトですら音読していない方もいらっしゃるかもしれません。
もしそうなら、本当にもったいないことです。

せっかく購入した過去問題集です。
一度解いて終わりにするのではなく、何度も音読して使い倒してください
同じ問題集でも、「問題を解くだけ」の人と、「音読教材」としても活用する人では、数か月後、数年後の英語力に大きな差が生まれます。

なぜ音読が英語力につながるのでしょうか

「音読が大切」と言われると、
「発音がよくなるから?」と思われる方も多いかもしれません。

もちろん、それも一つの効果です。
しかし、本当に大きな理由はそこではありません。

その理由は、私たちの脳の働きにあります。
皆さんも、本を黙って読んでいる時に、頭の中で自分の声が聞こえているような感覚はありませんか。

読書する人


例えば、この文章を読んでいる今も、おそらくあなたの頭の中では音声が流れているはずです。
これは気のせいではありません。

心理学では、この現象を「内声(サブボーカリゼーション)」と呼びます。
私たちは黙読している時でも、ただ文字を目で追っているだけではありません。
脳内で音を再生しながら文章を読んでいます。

つまり、英文を読む時も、脳は文字だけではなく、「音」も使って文章を理解しているのです。

さらに、人が文章を理解する時には、ワーキングメモリという働きが使われています。
ワーキングメモリとは、情報を一時的に頭の中へ置きながら考えたり理解したりするための仕組みです。
少し難しい言葉ですが、「頭の中の作業机」をイメージすると分かりやすいかもしれません。

机の上に資料を広げながら仕事をするように、私たちは読んだ単語や文章を一時的に頭の中へ置きながら、次の文を読み進めています。
そして、このワーキングメモリの中には、音韻ループという働きがあります。

音韻ループは、読んだ言葉を音として一時的に保持する仕組みです。
つまり、英文を読む時、私たちは

文字を見る👀

頭の中で音に変える🔄

その音を一時的に保持する🧠

次の文へ進む👀

前の文とつなげながら意味を理解する💡

という作業を一瞬のうちに繰り返しています。

もし単語を見ても正しい音が思い浮かばなければ、そのたびにワーキングメモリへ余計な負担がかかります。
反対に、単語を見た瞬間に正しい音が自然に思い浮かぶようになると、文章全体の理解により多くの力を使えるようになります。

もちろん、読解力は語彙力や文法力など、さまざまな要素によって決まります。
音読だけで読解力が伸びると言えるほど単純なものではありません。

しかし、正しい音の知識が読解を支える大切な土台の一つであることは、多くの研究で示されています。
だからこそ、長文問題も音読することをおすすめします。

音読は、口の練習だけではありません。
頭の中で流れる英語の音を育てる練習でもあるのです。
さらに、音読を繰り返すことで、英語らしい語順や表現が頭の中に蓄積されるため、英作文でも自然な表現が出やすくなります。

つまり音読は、リスニングだけではなく、長文読解、英作文、スピーキングなど、英語力全体の土台を育てる学習なのです。

スペルを書けても、発音できない

実は日本人には、
単語のスペルを正しく綴ることはできても、正しく発音できない人が少なくありません。

学校では文字を中心に英語を学ぶことが多く、英語を音と結び付けて学ぶ機会が少ないためです。
だからこそ、新しい単語を覚える時は、

意味・スペル・発音をセットで覚えることが大切です。



文字と音を結び付けながら学ぶことが大切であり、フォニックスはそのための代表的な学習法の一つです。

自己流ではなく、お手本の音をまねしましょう

音読は、ただ声に出せばよいわけではありません。
一番大切なのは、正しい音を真似ることです。
新しい単語を覚えたら、まずはお手本の音声を聞く
そして、その発音、リズム、イントネーションをできるだけ忠実にまねしてリピートする。

長文も同じです。
英語らしいリズムやイントネーションを意識しながら、何度も音読してください。
反対に、自己流の発音やカタカナ発音のまま何度も読んでしまうと、その音が頭の中に定着してしまいます。
すると、黙読している時にも、頭の中ではカタカナ発音のまま英語を読んでしまうことになります。

せっかく脳は「音」を使って英文を理解しているのに、その音が英語らしい音ではなくカタカナ英語になってしまっていては、本来得られるはずの音読の効果も十分に期待できません。

だからこそ、「正しい音を真似ること」が何よりも大切なのです。

もし過去問に音声が付いていない場合は、ChatGPTのような生成AIに読み方を確認したり、「音読さん」のような音声読み上げサービスを利用したりする方法もあります。
また、英語教室や個別指導で先生に発音やイントネーションを確認してもらうのもよいでしょう。

最初に正しい音を身に付けることが、その後の練習の質を大きく左右します。

発音は英語力の土台です

発音というと、「きれいに話せるようになるためのもの」と思われがちです。
しかし、それだけではありません。

単語を見た瞬間に正しい音が思い浮かぶ。
英文を読むと、頭の中で英語らしいリズムで音が流れる。

その積み重ねが、

リスニングにつながり、
長文読解につながり、
英作文につながり、
スピーキングにつながっていきます。

だからこそ、発音やフォニックスの学習は、英語力全体の土台になるのです。

過去問を120%活用しましょう

過去問をもっと効果的に活用するなら、

STEP
問題を解く

STEP
答え合わせをする

STEP
お手本の音声を聞く

STEP
英語で書かれている部分をすべて音読する
(知らない単語、熟語はすべて調べて、覚えていきましょう。)

この流れをぜひ習慣にしてください。


過去問に出てくる単語や表現は、その級に合格するためには不可欠なものなので、
音読をすることで、それらを全て吸収していきましょう。

英単語や表現は、単語帳で覚えるよりも、文章の中で覚えていく方がはるかに記憶に残りやすいので、
単語帳を開く前に、過去問の文章を利用して、語彙力を強化するのが効率的です。

最後になりますが、過去問は、英検に合格するためだけに使うには、あまりにももったいない教材です。

使い方次第で、過去問は英語力そのものを伸ばしてくれる最高の教材になります。
ぜひ今日から、「解くだけ」で終わらせず、最後の1ページまで声に出して読んでみてください

きっと、これまでとは過去問の見え方が変わるはずです。

参考文献

* Baddeley, A. D. (1992). Working Memory. Science, 255(5044), 556–559.

* Baddeley, A. (2003). Working memory and language: An overview. Journal of Communication Disorders, 36(3), 189–208.

* Rayner, K., Pollatsek, A., Ashby, J., & Clifton, C. (2012). Psychology of Reading (2nd ed.). Psychology Press.

* Perrone-Bertolotti, M., Rapin, L., Lachaux, J. P., Baciu, M., & Lœvenbruck, H. (2014). What is that little voice inside my head? Inner speech phenomenology, its role in cognitive performance, and its relation to self-monitoring. Behavioural Brain Research, 261, 220–239.

この記事を書いた人

子ども英語の世界に足を踏み入れて
25年が経ちました。
英語講師という仕事は天職だと思うくらい、
毎日かわいい生徒さんに囲まれて
幸せを感じています。

目次